ハーバード大のLGBTアクティビスト向け研修を受けてみた

1月から受講していたハーバードのLGBTアクティビスト向けのコースが修了したので、学んだことの一部をまとめてみました。各国からたくさんのリーダーが参加していて、日本よりも過酷な環境の国も多い中でも、ユーモアや暖かさを感じる学びの場でした。
遠藤まめた 2026.08.21
誰でも

ハーバード大が、LGBTアクティビスト向けの研修をここ何年かオンラインで提供している。友人の小鉄がマネージャーをやってて、東アジアの存在感が全然ないよ、と声をかけられ、エントリーしたところ合格した。小鉄はもともと北京のLGBTセンターの事務局長をやっていて、このセンターは中国政府によって閉鎖されてしまったので当時はとても胸を痛めていたのだが、かわらずアクティブで本当に尊敬する。

プログラムは無料で、基礎編と応用編があり、それぞれ4〜5回ほど実施。参加者は世界中から、LGBTが犯罪になる過酷な国の人たちを含めて40人程度。エントリーに当たっては10年以上活動していてフルタイムのアクティビストであることなど、ハードルはやや高めだが、これとは別にハーバード大では無料のウェビナーをちょこちょこやっている。関心がある人は雰囲気を知るにはまずこちらがいいかもしれない。全部英語なのでそこは各自頑張りましょう。

いったん今週で全ての授業が終了したので、感想などをまとめてみた。

最終講義にて

最終講義にて

*ちなみに別件ですが、LGBTの子ども若者の居場所・にじーずが10周年クラウドファンディングをしているのでそちらもご案内です。次の10年を作るためどうぞご協力ください。

以下、参加しての所管などをメモ

どんな内容

講義は、先生が話しているのを聞いてブレイクアウトルームで話して、というインタラクティブな形式。国際的な場所あるあるだが、「誰か意見はありますか」と先生が言った瞬間、早押しクイズばりにガンガン手が上がり、参加者が自分の意見を言っていくので、東アジアの文化で育っていると圧倒される。

基礎編では歴史の中でどうやってスティグマと戦ってきたか/バックラッシュをどう捉えるか/自分のプロジェクトのtheory of changeは何か(どう戦略を持って取り組んでいるか)などの話を扱った。

以前のニュースレターで扱ったアライスペクトラムの話も、その一部。

バックラッシュの授業は、進歩があれば揺り戻しがあることは当然で、ネガティブな変化があってもそれを永続的であると捉える必要はないこと、などの話。

・反多様性を掲げるポピュリスト
・宗教的背景があり聖書などを使って攻撃してくる人
・ホモフォビックな保守派論壇

これらが合体してバックラッシュをしていることが多いが、ポピュリストは心の底からLGBTのことに関心があるわけではないし、聖書云々で攻撃する人はポピュリストの道徳的堕落ぶりとは本当は相容れない(LGBTを攻撃してくれるという利益があるから目を瞑っているだけ)。ポピュリストが根っからのホモフォビアな保守派と組むと市民の一部は引いてしまう。そんな話だったような気がする。

応用編ではリーダーシップについて扱った。参加者それぞれの失敗事例を持ち寄ってコメントしあったり、ハーバード大でビジネスリーダー向けに行われているリーダーシップの講義が反映されたりした。基礎編がLGBTコミュニティに特化した内容が多かったのに対して、応用編はコミュニティに限らない内容が多かった感じ。

応用編で触れられていた内容のうち、ロナルド・ハイフェッツ先生の「適応型リーダーシップ」の話は、本人が公開ウェビナーで話しているのでこちらが参考になるかも。

ハイフェッツ先生は日本語でもウェブ記事や翻訳本が出ているので内容を知りたい人はそれを見てみるのも良さそう。

フレームワークで考える

普段の活動では、どうしても目の前のことに取り組むことに必死になってしまう。今回は前述の「アライスペクトラム」などの図が色々出てきて、自分たちがやっていることをフレームワークにあてはめてみるのは良い経験だと思った。

図解はわかりやすいし、わかりやすいからこそ本当にこの図解で良いのか、抜け落ちている視点はないか、などの批判的思考(ツッコミ)もしやすい。

例えば、法的平等を達成するためのステップ、といった図があった。ゴールが法的平等で、開始地点にセーフスペースがある。自分らしく過ごせる場所があって、次にカミングアウトしてる当事者の増加があって、次に周囲に影響を与えるアライが増えて、人々の心と考えが変わって、日常的な機関が変わって、経済界の協力があって・・・と言った図。まぁこんな単純なわけはないので、この図に対しては参加者からいろんなツッコミが相次いだ。当然ながら法整備ができても、人々の心やマインドが追いつかず苦慮してる国もある。私もそうだが、政策提言の活動をしていたが、その後コミュニティ・ワークに戻る人もいる。他国でも政策提言の活動はインテリしかやってなくてコミュニティのみんなが関われるものではなかったからとパレードの運営を始めた人がいて面白かった。法律ができればなんとかなる、というのは20世紀的な価値観ではないかなと個人的に思う。

自国の文化にはどう当てはまる?

歴史から学ぶ際にはアメリカのLGBTのヒストリーブックが課題図書に出たり(これはこれでとても面白かった)、リーダーシップのノリもどうしてもアメリカチックになりがちなので、これが日本だったらどうだろうということは常に要検証だなと思った。

アメリカの方がLGBTの権利先進国のように語られがちだが、ストーンウォールの生き証人だったミス・メジャーよりも日本の美輪明宏の方が年長者だし、美輪明宏のような人物が当時のアメリカで文化人として活躍できたか考えると相当に怪しい。日本の風土の良いところ、アニメや漫画などサブカルでの扱いなども含め、本当はもう少し検討されて良いように思う。

一方、自分や相手がどういう価値観を重要しているのか、それはどんな幼少期からの出来事があってそのような価値観に至ったのか、それを大切にしたコミュニケーションをどう行うか、などは国や文化を超えて有効であるように思った。

長くなってしまったのでいったんここまで。

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